【桜随筆002】浜通り随一の桜並木、夜ノ森

前回書いたように、自分にとってはじめての桜撮影は一本桜でした。

巨大な一本の桜というものに、それなりに衝撃を受けたものの、まだまだ桜といえば並木という概念が大きかった時期だと記憶してます。

福島県は太平洋側の相馬市やいわき市をはじめとする「浜通り」、福島市や郡山市の「中通り」、そして「会津」といった、県を縦に三分割した地域圏で語ることが多くあります。私は当時いわき市、つまりは「浜通り」に暮らしていましたが、福島県のテレビ局の番組では天気予報などもこの地域圏で分けてます。

「浜通り」の桜名所といえば、富岡町夜ノ森の桜並木が真っ先にあがりました。周りの人からも、夜ノ森の桜は一度観るべきだと勧められてましたので、週末のライトアップされる時間帯を狙って、家族で出かけてきました。いわき市から国道6号線を北上して到着した夜ノ森は花見客で大渋滞。パンフレットやウェブサイトで見た以上の、ものすごい桜並木が続いていました。メインストリートには桜祭りの灯籠がぶら下がっていて、公園には出店屋台がたくさん並んでいました。

夜ノ森は江戸時代、磐城平藩と中村藩の境目に位置していたそうで、明治33年(1900年)に、中村藩士のご子息によって農村開発を記念して植樹されたのが桜並木のはじまりだそうで、現在では全長2.5km、1500本となっています。

当時はまだ桜の品種についてはソメイヨシノとシダレザクラぐらいしか知りませんでした。品種というよりも全体を「サクラ」として捉えていただけでした。今考えれば、エドヒガンザクラ王国の福島県において、100年以上の歴史がある夜ノ森のソメイヨシノ群は特筆すべき存在です。

帰りがけに同じ富岡町の宝泉寺に立ち寄りました。夜ノ森でいただいた「とみおか桜里園(オリオン)マップ※1」に、宝泉寺のベニシダレザクラが大きく記されていたからでした。また、マップ左下の桜里園クイズにも宝泉寺が出てくるぐらいですから、有名なんだろうとの思いもありました。

夜ノ森の賑やかさとはうって変わって、こちらは静寂の中でのライトアップでした。

樹齢900年、町指定天然記念物ですが、当時は枝ぶりや幹周りなどには気がまわらず、ライトアップによって派手に浮かび上がった光そのものに感動してシャッターを切ってました。玉砂利が敷かれた境内。何人か訪れていたカメラマンの歩く足音がザッザッっと響いてました。それまで体験したことのない独特な雰囲気の中、時間を忘れて撮影したことを覚えています。

※1 とみおか桜里園(オリオン)マップ 富岡町観光協会「桜のとみおか委員会」

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