【桜随筆018】奇跡のような一日

平成23年(2011年)4月24日(日)雲ひとつない青空と大満開の三春滝桜からはじまった福島県一本桜巡り。

この日の空と空気の美しさ、生命力に満ち溢れた草花の輝きは、決して忘れることのできない最上級の風景でした。

その後私が桜狂いとなる最大の転機となった日です。


「天候、満開、風、休日・・・それに震災後の我々の心持ちの回復というすべてがベストな状態だったんではないかと思えます。写真撮影を長らくの趣味とはしてますが、こんなふうにすべてが揃ってくれる瞬間はそうそうあることではないでしょう。まさに奇跡のような一日でした。(涙)震災後、なかなか一眼レフを持ち出して、撮影行なんて気持ちにはなれませんでしたけど、もう吹っ切れました。完全に平常に戻ったことを確信しました。桜満開、春爛漫、実に充実した春の一日でありました。(涙)」


上記の言葉は、この日の桜巡りにご一緒した、写真つながりの友人であり、自分が人生における師と仰ぐ、福島県いわき市酒井歯科医院の酒井さんが当時のブログ記事で綴っている言葉です。酒井さんからは一眼レフの楽しさのみならず、日々の暮らしや仕事のことなど、様々な考え方を学びました。

「大変な震災が起こったこんな時だからこそ、それまでやってきた軸をぶらしてはいけない。」

当時この言葉にハッとさせられました。今の自分にとって、仕事の姿勢、趣味である常磐百景という活動理念は、この言葉が大きな軸となっています。ブログ記事では平常に戻ったことを確信したとありますが、これはおそらく気持ちの部分であり、実際に仕事や暮らしにおいて、本当の意味での平常はまだまだ先だったはずです。

桜とはなんて力強いものなのでしょう。樹齢数百年の枝垂れ桜密集率が日本一を誇る福島県郡山三春田村地域。風景写真撮影において、雲一つない青空が必ずしも正解でないことはわかってますが、やはりなんといっても薄紅色の花びらが一番引き立つのはこういった青空ではないでしょうか。この空気、この素晴らしさを同時に共有できた友人の存在は大きかったです。またこの日、三春滝桜のみならず、その他の桜にもたくさんの観桜客がいらっしゃってました。我々もそうであるように、震災と原発事故からの復興において、桜は人々の心の頼りであると感じました。

憧れの桜。その満開風景を期待して車を走らせる。カーブを曲がって目に飛び込んできた桜の圧倒的な存在感。目の前に広がる華やかな風景。心が震えて無心でシャッターを切る。あっちの桜もこっちの桜も。

ひととおり目的の桜撮影を終えていわき市へ向かう帰り道、それまでの青空はいつの間にか灰色の雲に覆われて、計ったように雨が降ってきました。

桜というものが自分の中で特別な存在、最高の被写体、これこそ自分が夢中になれるテーマだと確信しました。


08:48 三春滝桜

震災の年の滝桜。これほど圧倒的な一本桜は他にありません。

10:01 伊勢桜(郡山市中田町)

10:15 紅枝垂地蔵桜(郡山市中田町)

10:54 不動桜(郡山市中田町)

12:02 雪村桜(郡山市西田町)

12:39 天神夫婦桜(郡山市西田町)

13:16 大聖寺の紅枝垂れ桜(田村市船引町)

13:31 仲森の紅枝垂れ桜(田村市船引町)

14:08 蛇塚の枝垂れ桜(田村市船引町)

茨城県の桜

常陸国一千年の桜史と平成の桜の記録 茨城一本桜番付 平成春場所の発表