【かすみがうら市】深谷鹿島神社の上溝桜
平成27年4月撮影
茨城県かすみがうら市 深谷鹿島神社
茨城県に点在する上溝桜(ウワミズザクラ)の古木は、主に神社の御神木として観ることができます。
色々調べてみると、大きな歴史が見えてきました。日本では古くからヤマザクラとウワミズザクラは稲作と信仰に関わるご神木だったのです。ここ、深谷鹿島神社の参道にある巨大なウワミズザクラも、そういった歴史観から大切に残されてきたものかもしれません。
平成27年4月撮影
平成27年4月撮影
上溝桜(ウワミズザクラ、Padus grayana)
バラ科ウワミズザクラ属の落葉高木。
和名は古代の亀卜(亀甲占い)で溝を彫った板(火燧木ひきりぎ)に使われた事に由来する。
また、予め彫られた骨の裏の溝を焼くことから「裏溝」「卜溝」のウラミゾが変化してウワミゾ、ウワミズになったとする説もあります。
別名ハハカノキ(波波迦の木/波々迦の木/波々架の木)
「古事記」の天岩戸神話(あまのいわとしんわ)には、天香具山(あまのかぐやま)の雄鹿の骨を抜きとって「朱桜の木(上溝桜)」の皮で焼き、吉凶を占ったとあります。
平成27年4月撮影
即位の礼(そくいのれい)
天皇が践祚(せんそ)後、皇位を継承したことを内外に示す儀典で、最高の皇室儀礼とされる。
即位式の後に、五穀豊穣を感謝し、その継続を祈る一代一度の大嘗祭(だいじょうさい)が行われる。即位の礼・大嘗祭と一連の儀式を合わせ御大礼(ごたいれい)とも称される。
大嘗祭で神様に捧げるお米を作る田んぼをどこにするかを占う、斎田点定の儀・国郡卜定に使われるウワミズザクラ。
葛木坐火雷神社(笛吹神社 ※1)から献上されていたウワミズザクラ(波々迦木)は、大嘗祭に先立ち、神様に捧げるお米を作る田んぼをどこにするかを占う、斎田点定の儀・国郡卜定(こくぐんぼくじょう)の際に用いられる木です。
ウワミズザクラを焚いて、そこに鹿の骨、亀の甲羅などをくべて割れた目を占います。
※1現在は天香山神社
亀卜の座
紫宸殿東廂、東軒廊東端部に「亀卜(きぼく)の座」があり、廊下敷石に四角く薄い御影石「亀卜石」(1m四方)が置かれている。
天皇即位後初の新嘗祭である大嘗祭前に、この石の上で神祇官・卜部(うらべ)氏は、「軒廊の御卜(こんろうのみうら)」を行いました。
古代中国の習俗で、細かく切ったウワミズザクラを燃やし、海亀の甲羅を焼く。その時の甲羅のひびの入り方で天神、地祇に祀る米の産地二国二郡を決定した。
国郡卜定(こくぐんぼくじょう)
ウワミズザクラを焚いて雄鹿の肩甲骨や、亀の甲羅を焼き、それによって生じた割れ目で悠紀(由基=ゆき)、主基=すき、という二つの斎田の国郡を選定する。
「悠紀」「主基」とは日本の東西を表す言葉。 京都の以東を悠紀(東日本)、以西を主基(西日本)とし、 それぞれから一か所、大嘗祭に捧げる米を作る田んぼを選定する。
神様に捧げるお米を作るという栄誉をいただいた田んぼの耕作者は、粗相のないように精進潔斎して田んぼに入り、気を使いながら米を育てる。やがて実った米は大嘗祭に際して献上される。
大嘗祭は、普段の宮殿とは別に大嘗宮という建物を建てて執り行われ、そこには「悠紀殿(ゆきでん)」「主基殿(すきでん)」という二棟の建物があり、回廊で結ばれていて、それぞれの殿で祭祀が行われるとのこと。つまり悠紀斎田(ゆきさいでん)で作られた米は悠紀殿へ、主基斎田(すきさいでん)で作られた米は主基殿へそれぞれ奉られ、儀式が行われることになる。
往馬大社から献上されるウワミズザクラは、大嘗祭・斎田点定(さいでんてんてい)の儀において火燧木として使用される。
平安朝の書物である北山抄や元要記、亀相記等には「火燧木神」の記載が見られ、伊古麻都比古神、伊古麻都比賣神は古くから「火の神」としても尊ばれていました。
往馬大社は古くから「火の神」としても崇敬厚く、歴代天皇の御即位の踐祚大嘗祭に用いられる火燧木は代々往馬大社より献上したもので、昭和・平成の大嘗祭・「斎田点定の儀」にも往馬大社の火燧木(ウワミズザクラ)が使用されました。
平成27年4月撮影
深谷鹿島神社
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