【常陸太田市】泉福寺の枝垂れ桜

平成26年4月撮影

写真提供:坂野しげ子(小美玉市)

茨城県常陸太田市 泉福寺

県指定天然記念物


その昔、現在の福島県いわき市を中心に治めていた岩城氏。

その一族である「白土馬之介」によって菩提寺「松安寺」(曹洞宗)がこの地に建立されました。

その後歴史は流れ江戸時代、徳川光圀公の「寺社改革」によって松安寺は廃寺となります。


貞享元年(1684年)に廃寺となっていた松安寺跡に現在の日立市小木津より引寺されたのが、同じ曹洞宗の泉福寺です。お寺を失った住民達による強い要望から引寺となったようです。

このシダレザクラはその際に植えられたと伝わっています。

樹齢は340年ぐらいということでしょうか。

お堀のような斜面に立ち、まるで雲竜ともいえる見事な枝ぶりを誇ります。

平成30年には南側の杉林、平成31年には東側の杉林が伐採されており、近年非常に日当たりが良くなりました。


平成7年には里美村の樹勢回復事業によって治療が施されました。 日本樹木保護協会が実施した事業で、桜の周りに足場が組まれて、枯れ枝の剪定、こけ等の除去、幹の外科治療、枯根の切除などが行われたようです。


今の日本はソメイヨシノの流行によって、寺院にシダレザクラを植えるという文化継承が断絶しつつある状況ですが、泉福寺ではその貴重な継承を見ることができます。

シダレザクラを寺院に植える風習は天蓋の瓔珞(ようらく)から来ているといわれています。天蓋は天井から吊るす装飾具で、「仏の徳が自ずから外に現れ出たそのもの」とされています。また、シダレザクラはブッダが悟りを開いた時に、天地が光り輝き、天上から降り注いだ「奇瑞の花」に例えられています。

つまり、仏の徳そのものが天蓋であり、天蓋(瓔珞)=奇瑞の花。 それが寺院に植えられるシダレザクラの由縁ということです。 

茨城県の古木を見て回ると、高確率でシダレザクラは寺院にあります。 ヤマザクラを愛した徳川光圀公も、寺院にはシダレザクラをお手植えしています。きっと「神仏分離政策」においてもこれらの植え分けは推奨されたことでしょう。 

このような歴史は樹齢数百年の古木を見ていけば必然と見えてきます。 

シダレザクラ(彼岸桜)=仏教=寺院 

ヤマザクラ=神道=神社

平成30年4月撮影

南側の杉林が無くなったことで、駐車場から眺めることができるようになりました。

平成30年4月撮影

平成30年4月撮影

平成30年4月撮影

エドヒガンの特徴である玉のような花付き。

平成31年4月撮影

桜の近くの椿も成長してきました。

平成31年4月撮影

平成31年4月撮影

平成31年4月撮影

平成31年4月撮影

平成31年4月撮影


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