【展示・講演】茨城空港 茨城県の名桜展

令和3年3月29日撮影(写真左から、関樹木医、坂野、稲葉先生)


茨城空港 茨城県の名桜展 

-万朶の桜 一千三百年の桜史-


日時:令和3年3月30日(火)〜4月4日(日) 

会場:茨城空港 国際線チェックインカウンター前 

主催:茨城空港利用促進等協議会 

協力:常磐百景(じょうばんひゃっけい)

   水戸桜川千本桜プロジェクト(公益財団法人日本花の会地方組織 水戸桜川日本花の会) 

        一般社団法人日本樹木医会茨城県支部 


奈良時代の筑波山から始まる茨城県一千三百年の桜史(おうし)は、水戸の尊王(そんのう)の心とともに青天に舞い上がる! 桜川をはじめとする、桜を里に植える文化として、茨城県の桜は全国に類を見ない歴史がある。 特に江戸時代、幕末から明治維新における水戸の桜花観(おうかかん)は全国に影響を与え、現在でも古くから受け継がれている名桜(めいおう)の現存率が高いことが特徴である。 その景観が最高潮に達した平成時代後期の桜を記録したものが『茨城一本桜番付 平成春場所』となる。 台風災害やコロナ禍で大変な時代となった令和。 空の玄関口である茨城空港から、改めて誇りある、観るべき桜、知るべき桜花観として 今、青天を衝いて咲き誇る 「万朶(ばんだ)の桜」をお届けしたい。 常磐百景 坂野秀司 

※桜花観(おうかかん・さくらばなのみかた) 

※万朶の桜(ばんだ・幾万の枝に咲く桜の花、満開の桜。日本人の持つ「正気」の象徴。正気とは人間の正しい気風、天地の間に流れる正しい気のこと。


コロナ禍で稼働が休止されている国際線チェックインカウンター前のスペースで、桜の企画展を開催しました。NHK大河ドラマ「青天を衝け」では、水戸の尊王の心と渋沢栄一の物語が展開しています。今こそ、茨城県の名桜の存在とその桜を愛でる桜花観を提案したい。その趣旨のもと、水戸桜川千本桜プロジェクトと、日本樹木医会茨城県支部の皆様にご協力をいただいて、かくも盛大な企画展を実施することができました。単なる写真展ではやる意味がないと考え、今回は3つの分野から桜を魅せるという企画としました。常磐百景として『茨城一本桜番付』をはじめとする各地の名桜写真の紹介、水戸桜川千本桜プロジェクトによる歴史面「常陸国桜物語・千三百年史」の紹介、日本樹木医会茨城県支部による学術面、現場の桜守としての活動や資料の紹介です。実施してみて、この3方向からのアプローチは、どれも抜けてはならない、茨城県の桜を語っていく上でひとつの完成形だと思いました。ご協力いただきました両団体と、関樹木医、稲葉先生に感謝申し上げます。


非常に多くの方にご来場いただきました。告知を掲載してくださった「Omitama Times」「Omitama Shigoto」の皆様、フリーペーパー『リアンヴィル』様、『茨城新聞』様、チラシを貼っていただいた「栗の美」の野手さん、そしてSNS等で告知やご来場レポート等ご協力いただいた皆様にもお礼申し上げます。ありがとうございました。


以下、展示内容を振り返ります。

会場入口のウェルカムボードは、人気アーティストRIKAさんのチョークアート作品がお出迎えです。にゃんこの背中の模様が桜だったり、花びらがにゃんこの顔だったり、隠れ要素もある作品ですが、なにより花びらや蕾の繊細な描写に息をのみます。素晴らしい作品を提供くださったRIKAさん、ありがとうございました。尚、なんとこの作品を譲っていただきました!今後の講演のお供として一緒に桜巡業に回ることが決定しました。にゃんこちゃん、大切に同行してもらいます。

展示コーナー入口では、まず「茨城県の名桜マップ」です。県内に分布している一本桜が記されています。そして、大型液晶モニターでは「水戸藩桜伝承」というショートムービーを繰り返し上映しました。『茨城一本桜番付 平成春場所』の展示です。となりには『茨城桜見立番付』(昭和58年・59年・川上千尋)を掲示して、大正昭和時代に全盛だった茨城県の名桜番付とともに見ていただけるようにしました。

天井から吊るされている上部8台の液晶モニターには、茨城県の名桜写真をランダムで上映。空港のチェックインカウンターならではのモニターで、かっこいい演出です。これは普通の展示会場では真似のできないことでしょうから、特に嬉しかったです。

次に「桜川」と「水戸の歴史と桜」コーナーです。茨城県の桜を語る上で、まずもって最初に「桜川」に触れなければなりません。ここでいう「桜川」とは、「櫻川磯部稲村神社」「磯部桜川公園」のことです。「桜川」には日本全国の桜名所の誰もが認める歴史と威厳があります。同時に高峯や雨巻山、青柳の糸桜なども展示しました。

そして、常磐百景が写真提供をさせていただいた『桜川市さくらめぐりMAP』(令和3年・大川奈奈)も掲示させていただきました。尚、このMAPは講演会参加者に限定配布しました。

「水戸の歴史と桜」は次から展開する「常陸国桜物語・千三百年史」に関連する名桜を掲示しました。

水戸桜川千本桜プロジェクトによる「常陸国桜物語・千三百年史」の展示は、奈良時代から現代までの1300年に渡って流れる茨城県の桜の歴史解説です。これを全て読んでいただければ、茨城県の桜がいかに全国に影響を与えてきたか、「桜川」の威厳や「水戸藩」の桜花観をご理解いただけることでしょう。とはいえ会場でこれを全て読むのもなかなか難しいと考え、展示内容と同じものを配布資料として準備していただきました。今回の副題にもある「万朶の桜」とはなんなのか。その核心にも触れていただいてます。

日本樹木医会茨城県支部の展示は、専門家ならではの現場実績が見れる内容で、普段なかなか知れない貴重な展示となりました。大型液晶モニターには樹木医さんの現場活動写真がスライド上映されました。

最後に茨城県の名桜ベストセレクションを一挙展示です。常磐百景としてこれまで撮影してきた桜は1000ヶ所を超えます。その中から絞りに絞った48枚。非常に難しい決断でした。他にも紹介したかった名桜はこの数倍はあります。特別コーナーとして、かすみがうら市の「下大津の桜」コーナーです。私自身、下大津の桜保存会の会員でもあること、そして平成30年に市の天然記念物に指定されたばかりで、まさに茨城県の一本桜のこれからを象徴する桜としてみなさんに知っていただきたいと思いました。茨城空港の地元、小美玉市の桜コーナーです。市の広報誌写真などで活躍されている地元のアマチュアカメラマン齋藤さんにご協力いただいて、たくさんの小美玉市の桜を掲示することができました。奥に「茨城県の上溝桜(ウワミズザクラ)」のコーナーを設けることができました。この展示は普通の桜写真展ではやらないことだと自負しています。

下大津の桜保存会メンバーでもあり日本樹木医会茨城県支部会員の小松﨑樹木医と、小美玉市のタウンレポーター、カメラマンの齋藤さんが2日間会場に常駐してくださいました。お二人の人脈とご支援無しには今回の企画展は成り立ちませんでした。本当にありがとうございました。


茨城県の桜クイズ。ミニクイズにチャレンジして景品を貰おう!(先着200名)  

クイズの答えは3つの展示コーナーに隠されていまして、展示を見ていただければ誰でも答えられる3問としました。空港のインフォメーションセンターに解答用紙を持っていくと、景品がもらえるというものでした。


4月3日と4月4日の2日間は講演会を行いました。

参加特典は

1:『茨城一本桜番付 平成春場所』 (令和2年・常磐百景)

2:『桜川市さくらめぐりMAP』(令和3年・大川奈奈) 

3:「茨城空港グッツ」

を配布しましたが大好評でした。さくらめぐりMAPをご提供いただいた大川さん、ありがとうございました。

講演は3つのパートに分けて実施されました。

日本樹木医会茨城県支部、関樹木医の講演は「桜切る馬鹿は本当に馬鹿なのか?」です。さすが樹木医さんならではの講義でした。題名ですでに引き込まれます。改めて勉強になりました。

50名入れる会場でしたが、コロナ予防の観点から2日間とも半分の、先着25名限定での開催となりました。

水戸桜川千本桜プロジェクト、稲葉代表の講演「常陸国桜物語・茨城桜花千三百年史」

企画展示ともリンクする内容でしたが、やはり話を聞くと全然理解度が高まると感じました。いつにもまして流れるような講談、いや、講義に引き込まれました。今回は特に「渋沢栄一」へとつながる水戸の心に感動しました。尚、4月4日は「あんぱんの日」だったこともあり、3日とは違った解説もございました。

最後は常磐百景として、茨城県の一本桜写真を桜番付の下位から上位に向けてスライド上映しました。上記ラストの写真は今年撮影したばかりの「青天を衝いて咲き誇る!万朶の桜」です。弘道館左近の桜。この写真は自信最高傑作のひとつになりました。また、講演会に私の原点である団体「ひたち巨樹の会」から横山ご夫妻が参加してくださって、感激いたしました。


かすみがうら市の木村樹木医をはじめ、日本樹木医会茨城県支部会員の皆様や、桜番付に掲げている石岡市「駒村家の山桜」の駒村ご夫妻、高萩で山桜の巨樹を守ってらっしゃる方など、実際に桜と関わっている現場の方々も多数ご来場いただきました。

また、ここでは書ききれませんので省略させていただきますが、分野問わず本当にたくさんの方々にご来場いただきました。ありがとうございました。終日在廊していただいた日本樹木医会茨城県支部の小松﨑樹木医。会場に桜を届けてくださった小美玉市の田村美穂子さん、このような豪華なお花をありがとうございました。講演会、企画展それぞれの会場で飾りましたが、本物の桜がいてくれて、すごく映えました。ご来場の皆様も感心されてました。   


たくさんの方々に支えられて実現した今回の名桜展。令和時代の今、桜の世界に大きな足跡を残すことができたと感じています。

「Omitama Times」の立原さんご夫妻、「タウンジャーナル小美玉」編集長の小松埼さん、タウンレポーターの植田さん、遠藤さん、島田さん、藤田さん、田村さん、藤井さん、小美玉市の中本くん、代々城さん。ミュージシャンの星野様、桜川市の山川さん、ジュエリーマーノの田中栄作さん、一会一期の大川奈奈さん、石澤さん、株式会社絵になる水戸プロジェクトで人力車運行の首藤さん、松沢さん、リアンヴィルの横田さん、土浦のカメラマン青木功さん、カメラマンの飯田宗樹さん、陶芸家の新井倫彦先生、チョークアートのRIKAさん。偕楽園の鹿熊さん、張星の孝雄ちゃんご家族、ありがとうございました。

常磐百景スタッフの母、茨城弁の齋藤さん、小松﨑樹木医と奥様、関樹木医、日本樹木医会茨城県支部の皆様、稲葉先生、千本桜プロジェクトの皆さんも、ありがとうございました。


最後になりますが、今回の企画を主催してくださった茨城空港利用促進等協議会及び茨城県空港対策課様と、パネル製作や展示など現場対応の石﨑様に厚く御礼申し上げます。

大変お世話になりました。坂野秀司